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静止軌道衛星から紐を上下に垂らすと,衛星にはどのくらいの力がかかるのか [ざれごと]このエントリーを含むはてなブックマーク#

spaceElevator-01.png

Twitter で,宇宙エレベータ(軌道エレベータ)の話が出ました.とっさに想像できなかったので,本格的に計算してみました.

静止衛星って,何よ

地球の自転と同じ角速度で衛星を配置すると,赤道から約 36,000km 上空の静止衛星軌道という場所に落ち着きます.地上からこの衛星を見ると,いつも同じ位置に見える,つまり静止して見えることから,静止衛星と呼ばれます.

静止衛星が,地球に近づくことも地球から遠ざかることもないのは,静止衛星に働く力の合計がゼロであるためです.地球に近づく方向に働く力を「引力」と呼びます.反対に地球から遠ざかる方向に働く力を「遠心力」と呼びます.地上から 36,000km の上空でこれらの力がつり合って,静止衛星は,静止して見えます.

宇宙エレベータって,何よ

地球の自転と同じ角速度で回ると,静止衛星軌道よりも地球に近い場所では,「引力」の方が強くなるので,地球に引き寄せられる力が働きます.そのため,静止衛星から地上に向かって紐をたらすと,まっすぐ地球に向かって伸びます.そして,紐の受けた力の合計が静止衛星にかかります.

一方,静止衛星軌道よりも地球から遠い場所では,「遠心力」の方が強くなるので,地球から遠ざかる力が働きます.そのため,静止衛星から地球と反対方向に紐を出していくと,地球とは反対方向にまっすぐ伸びていきす.紐の受けた力の合計は,やはり静止衛星にかかります.

このように,静止衛星から両方向に紐を伸ばして,静止衛星がそれらの紐から受ける力が等しくなるように調整すると,静止衛星にかかる力の総合計はゼロになるので,静止衛星は,静止した状態を保つことができます.力の合計はゼロですが,二本の紐によって引っ張られる力は,かかっています.

紐から受ける力のバランスを保ちながら,紐の長さをどんどん長くしていくと,地球に向かっていた紐は地上にまで届きます.つまり,地上と宇宙空間を結ぶレールが敷かれたことになります.このレールを伝って,地上と宇宙の間を往復する装置を宇宙エレベータ(軌道エレベータ)と呼びます.

ここでは,大気によって紐が流されるなどの大気圏に特有の影響は考えていません.実用的には,影響を及ぼす大気のない成層圏にプラットフォームを作り,そこまで紐を伸ばすという案もあるそうです.

紐の受ける力を求める

地上に達するまでに紐が受ける力の総合計が静止衛星にかかります.そして,その力と同じ力で地球から遠ざかる方向に衛星を引っ張らなくてはなりません.そのため,宇宙エレベータの実現には静止衛星から地球とは反対向きに紐を伸ばす必要があります.紐の長さを極力短くするためには,力をつり合わせるための「カウンターウェイト」を紐の先に付けてやります.

地上に向かう紐が受ける力は,地球の重心からの距離によって異なります.ここでは,紐を数珠のように考えて,みました.地球の重心からの距離を r とすると,数珠の珠一つが受ける力は,

となります.ここで, G は万有引力定数, M は地球の質量, ω は地球の自転角速度, Δm は数珠一つ分の質量です.また,地球に向かう力を正としています.

静止衛星にかかる力を計算する

この力を地球の赤道半径( r1=6,400km )から静止衛星軌道( r2=42,200km )まで積分すると,紐が静止衛星を地上に引っぱる力が求まります.

m/l は,「線密度」と呼ばれる紐の長さあたりの質量を示します.計算の結果,このような値が求まりました.

ここで,紐の線密度をストッキングのナイロン糸で使用される 10デニール(9000mあたり10g)と仮定します.

よって,静止衛星にかかる力は,こうなります.

地上では,長さ 35,800km の 10デニールのナイロン糸の重さは, 39.8kgf ですから,それよりもはるかに小さい数値になりました.ちなみに,ナイロン糸の引張強度を調べたところ, 1 デニールあたり 10gf 未満ということなので,このナイロン糸は,自分自身の重さで切れてしまうことがわかります.つまり,従来の素材では,宇宙エレベータは実現できないという事です.

参考文献

立ち読みさせていただきました.こんど,買おう.

宇宙エレベーター−宇宙旅行を可能にする新技術−

宇宙エレベーター−宇宙旅行を可能にする新技術−


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hamayan

(笑)
結構この記事は好評なようで、ちったーの
http://twitter.com/sciencenews_j
で紹介されていますね。

by hamayan (2010-03-13 13:46) 

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