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ステップアップコンバータ HT77xxA を規格外で使うお話 (2) [電子工作]このエントリーを含むはてなブックマーク#

出力電圧を分圧して HT77xxA の "VOUT" 端子に戻してやって,高い電圧を発生させようとしましたが,保護回路が働いたらしく,思い通りの電圧が出てくれませんでした.いや,こんな事であきらめてはいけないのだ.

この記事は,メーカが想定している使用例に従わない方法で半導体を使用した,私の個人的な実験メモです.このようにメーカが推奨しない使い方をした場合,結果について誰も保証することはできません.そのため,ご自身の責任の範囲で実験する以外の用途には使用なさらないでください.また,この記事で述べた使い方について,メーカに質問することもご遠慮ください.

LX 端子が跳ねるのが問題だ

HT77xx-03.png

前回の回路では, "LX" 端子の MOSFET が OFF すると,コイルに蓄えられたエネルギーはダイオードを介して出力コンデンサに注入されます.このとき,出力電圧にダイオードの順方向電圧降下分を加えた電圧が "LX" 端子に印加されます.

HT7733A の仕様書には, "LX" 端子の最大電圧は明確には規定されていませんが,電源電圧の最大定格の最大値が, VSS+7V とされているので, "LX" 端子にも 7V より高い電圧を印加することは出来ないと考えられます.このことから,出力電圧の最大値は,6.5V付近になるであろうと推測されます.

エネルギーの引き受け先を用意する

この状態を打破するためには,コイルに蓄えられたエネルギーが解放されても, "LX" 端子に高い電圧が発生しない回路を作る必要があります.つまり,エネルギーの引き受け先を別に用意してやれば,良いのです.

コイルには,磁束という姿でエネルギーが蓄積されます.磁束を引き受けるためには,コイルに回路インピーダンスの低い二次巻き線を追加してやります.つまり,トランスを作るのです.

HT77xx-04.png

この図は,二次巻き線でエネルギーを吸い出し,ついでに巻き数比によって高い電圧を作り出すための回路図です.このような回路をフライバックと呼んでいますが,本来のフライバックは,一次側と二次側を絶縁する事に意義があるので,こんな使い方はしないはずです.

二次側に現れた出力電圧は,抵抗で分圧して,ステップアップコンバータにフィードバックします.分圧比を約5.5倍にしたので,出力電圧は,18Vに達しました. "VOUT" 端子の電圧が3.3Vに達していないのは,一次側の電流が制限されたためであろうと推測しています.つまり,この状態では,まったく電流を取り出すことができないということを意味しています.18V出力は,無謀だったようです.

"VOUT" 端子に追加されたダイオードと抵抗は,ステップアップコンバータを起動させるために必要です.前回述べたように,この IC は, "VOUT" 端子を電源として使っています.そのため,起動時には電源を供給する経路が必要です.ところが,フライバック構成にすると,二次側の回路は起動時には電圧を発生しないため, "VOUT" 端子に電源を供給することができません. "Vin" 電源からダイオードを通じて起動時のみに動作する回路を追加したというわけです.

トランスは,自分で巻こう

2630158

この実験で使用したトランスは, digi-key で購入したトロイダル・コア 35T0501-10H に UEW 線を巻いて作成したものです.以前の記事トロイダル・コア・カタログで紹介したトロイダルコアで,透磁率が高く,1ターンあたりのインダクタンスが 5µH もあります.このため,4ターンで 80µH,32ターンで 5.1mH ものインダクタンスを得ることができます.ただし,磁気飽和を起こしやすいので,それほど多くの電流を流すことはできません.この回路の場合,二次側コイルに流すことの出来る電流は,50mAほどであると見積もっています.

参考文献

スイッチング電源設計入門

スイッチング電源設計入門

改訂新版 定本 トロイダル・コア活用百科 —トロイダル・コイルの理論・製作と応用回路

改訂新版 定本 トロイダル・コア活用百科 —トロイダル・コイルの理論・製作と応用回路

  • 作者: 山村 英穂
  • 出版社/メーカー: CQ出版
  • 発売日: 2006/11
  • メディア: 単行本

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コメント 2

hamayan

おおう、流石前回だけでは終わらないとは思っていましたが。
ところでLXを別の外付けFETに接続するのは無しですか。

by hamayan (2010-07-31 12:43) 

noritan

LX 端子を PNP のベースに接続して,バッファリングする方法は考えられますが,そうするとステップダウン・コンバータになっちゃいます.また,ループゲインがあがってしまうのも心配です.

もっとも,記事の回路で発振していないかどうかは,一切確認していないのですけどね.
by noritan (2010-07-31 14:52) 

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