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ステップアップコンバータ HT77xxA を規格外で使うお話 (7) [電子工作]このエントリーを含むはてなブックマーク#

カレントミラー使い方が違うとコメントで指摘をされたので,作り直してみました.

この記事は,メーカが想定している使用例に従わない方法で半導体を使用した,私の個人的な実験メモです.このようにメーカが推奨しない使い方をした場合,結果について誰も保証することはできません.そのため,ご自身の責任の範囲で実験する以外の用途には使用なさらないでください.また,この記事で述べた使い方について,メーカに質問することもご遠慮ください.

カレントミラーの原理

HT77xx-09.png

この図で,カレントミラーの原理を説明します.カレントミラーは,二つのトランジスタで構成されており,それぞれのベース電位が共通になっている所に特徴があります.それぞれの理想トランジスタは,ベース・エミッタ間電圧(VBE)が等しいので,それぞれのエミッタ電位も等しくなります.ベース電流を無視して考えると,それぞれのエミッタ抵抗には,それぞれのコレクタ電流が流れます.ここで,それぞれのエミッタ抵抗での電圧降下が等しくなるので,コレクタ電流も等しくなります.

以上のように,右側のトランジスタは,左側のトランジスタのコレクタ電流と同じ電流をコレクタから流そうとする作用を及ぼします.この作用をカレントミラーと呼んでいます.

ここでは,説明のために,エミッタ抵抗を書きましたが,同一シリコン上で作った二つのトランジスタの場合には,原理的に値のそろったエミッタ抵抗が生成されるので,エミッタ抵抗を省略しても特性の良いカレントミラーになります.ディスクリート部品で性能の良いカレントミラーを作る場合には,エミッタ抵抗を外部で用意してやります.

電流の比率をエミッタ抵抗で変化させる

上で説明したカレントミラーでは,二つのトランジスタに値の等しいエミッタ抵抗を使用していました.エミッタ抵抗の値を変えてやったら,どのような動作をするかを考えたのが,この図です.

HT77xx-10.png

この図では,右側のエミッタ抵抗をk倍の値に変更しています.二つのトランジスタのVBEは等しいので,エミッタ抵抗での電圧降下も等しくなります.ところが,右側のエミッタ抵抗の値がk倍になっているので,エミッタ抵抗に流れる電流はk分の1になってしまいます.

結果として,右側のトランジスタのコレクタからは,左側のトランジスタのコレクタ電流のk分の1の電流を流そうとします.つまり,エミッタ抵抗の比率で,コレクタ電流の比率を変えることが出来るというわけです.

現実のトランジスタは,理想とはかけ離れている

HT77xx-11.png

これまでは,理想的なトランジスタを考えてきましたが,実際のトランジスタでは,トランジスタ自身がエミッタ抵抗(RE)をもっています.そのため,右側のコレクタ電流の値は,トランジスタの内部エミッタ抵抗の影響を受けます.

二つのトランジスタの内部エミッタ抵抗の絶対値は,ほぼ等しい値をとります.そのため,k=1の場合には,その影響は相殺されます.また,Rの値がREの値よりも十分に大きい場合にも,影響を与えません.

比率を変えたカレントミラーで実験した結果, 2SA1015 の内部エミッタ抵抗は, 8Ω ほどであることがわかりました.カレントミラーを使用する動機のひとつは, LED の駆動電流を流すことによる損失を抑制することです.そのため,内部エミッタ抵抗 8Ω が無視できるほど大きな値の抵抗は付けたくありません.

そこで,内部エミッタ抵抗の値を加味して,エミッタ抵抗の値を決定することにしました. LED に 20mA の電流を流したときに 1.5mA のセンス電流を流すことにすると,比率は,13.3分の1になります. R=10[Ω]RE=8[Ω] とおくと,kR=231[Ω] が求まります.そこで, kR=220[Ω] としました.

全体の回路図

HT77xx-12.png

全体の回路図は,こうなりました.カレントミラーにトランジスタを数多く使っていたところが,簡単になりました.電流の比率は,12.6倍と目標の13.3倍に近い値におさまっています.

フィードバック電圧が上がらないのは,相変わらずです.LEDに流している電流も,11mAどまりです.ほんとに,何とかしたいな.

参考文献

スイッチング電源設計入門

スイッチング電源設計入門

  • 作者: 佐藤 守男
  • 出版社/メーカー: 日刊工業新聞社
  • 発売日: 1998/11
  • メディア: 単行本
定本 トランジスタ回路の設計―増幅回路技術を実験を通してやさしく解析

定本 トランジスタ回路の設計―増幅回路技術を実験を通してやさしく解析

  • 作者: 鈴木 雅臣
  • 出版社/メーカー: CQ出版
  • 発売日: 1991/12
  • メディア: 単行本
定本 続トランジスタ回路の設計―FET パワーMOS スイッチング回路を実験で解析

定本 続トランジスタ回路の設計―FET パワーMOS スイッチング回路を実験で解析

  • 作者: 鈴木 雅臣
  • 出版社/メーカー: CQ出版
  • 発売日: 1992/12
  • メディア: 単行本

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コメント 6

ぱど

すでに漫才と化している気もしますが

LED側はGND側の10Ωはいらないですよ~。
1次側のコイルにはフライホイールダイオードあるのがベターですよ~。

>フィードバック電圧が上がらないのは,相変わらずです.
これテスターで見てません? 脈流だと変わりますよ
といっても大きく違いすぎますけど。
 
あとはトランスのコアが飽和してるとか。
by ぱど (2010-08-05 00:45) 

noritan

ぱどさん,まいど.

LEDのGND側についている10Ωは,電流測定用です.最後は,取っ払います.

フライバック構成では,1次側に蓄積されたエネルギーのすべてが,2次側に伝達されるので,フライホイールダイオードで吸収すると2次側からエネルギーが出て行かなくなります.ためしに取り付けてみましたが,1mA以下の電流しか流れませんでした.

フィードバック電圧は,普通のデジタルテスタで見ています.また,コアが飽和している可能性も十分にあります.発振している可能性もあります.

オシロが無いので,そろそろ限界を感じているなかで,一つだけ発見がありました. HT7733A のVOUT端子とGNDの間に0.1uFの積層セラミックを入れると,フィードバック電圧が上がります.LEDも明るく点灯します.おそらく, VOUT に出ていたするどいピークを検出して出力を下げ気味にしていたのではないかと想像しています.やはり,オシロが欲しいな.

by noritan (2010-08-05 11:33) 

ぱど

>1mA以下の電流しか流れませんでした.
平均してそれだけ流れるなら結構流れてますよ
実際にはHT7733Aの耐圧保護のためです。
 
>VOUT に出ていたするどいピークを検出
それは考えましたが47μで平滑されそう
パラにセラコン入れてみたらどうでしょう?


by ぱど (2010-08-05 22:56) 

noritan

>1mA以下の電流しか流れませんでした.
1mA以下の電流を検出したのは,LEDの回路です.それまでLEDに10mA以上流れていた電流が1mA以下になった,すなわち,約10mAのエネルギーがフライホイールダイオードで消費されてしまったと考えています.

>HT7733Aの耐圧保護のためです。
それは,理解していますが,インピーダンスの低いフライホイールダイオードを付けると,2次側にエネルギーが伝わらないのも事実です.ツェナーが必要なのかな?

出力コンデンサに並列にセラミックコンデンサは,もちろんやってみました.まったく,効果がみられませんでした.色々とくっつけてみて,一番効果があったのが, VOUT 端子でした.

やっぱり,オシロを何とかするか.

by noritan (2010-08-05 23:20) 

ぱど

>それまでLEDに10mA以上流れていた電流が1mA以下になった
うーん、ちょっと考えにくいですねえ
Diの向きが逆とかはないですよね?
 
>一番効果があったのが, VOUT 端子でした.
HT7733Aへの経路でノイズ重畳してるのかな。

P.S.
この画像認証ってw
by ぱど (2010-08-06 23:31) 

noritan

フライホイール・ダイオードの追実験を行いました.

その結果,ダイオード1個の場合には二次側に出力が出てきませんでしたが,ダイオード2個を直列にして,クランプ電圧を上げてやると,これまでどおり10mAを超える電流を取り出すことが出来ました.HT7733Aの耐圧が7.0Vということなので,VCCが5.0Vまで耐えられることでしょう.

やはり,LX端子にツェナーを付けたほうが直感的でいいかな.

画像認証の言葉は,手動設定なのです.

by noritan (2010-08-07 20:37) 

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